今週の書評で気になった本 2月第2週

2月10日(土)毎日新聞書評欄より


書名:シューベルトの手当て

著者:クレール・オペール

訳者:鳥取絹子

出版社:アルテスパブリッシング

価格:2,640円(税込)

ISBN: 978-4-86559-285-6

「音楽は心を癒やす」

ありきたりな表現ではあると思う。でもそれは確かに真であるとも思っている。

個人的な体験に根差した確信であるけれど、人は耳にする音楽によって気分が変動する。激しいものを聴けば高揚し、静かなものを聴けば鎮静する。

個人的な日ごろ音楽を自ら聴くことはしない、という人であっても、穏やかな調べを耳にすると自然と心が鎮まるのではないだろうか(無論その人の好みは存在する上で)。


この本では、20年以上に渡り終末医療を受ける患者や認知症患者、自閉症患者などの傍らでチェロを奏で続けている著者による体験が書かれている。

包帯の交換を全身で拒み暴れる認知症患者の横で著者がシューベルトを奏でると、とたん患者は静かになって看護師に身を預ける。魔法のような光景だと思う。



本当にどうでもいい余談なのだけど

職場で仕事をしていると、沈黙の事務室で皆が一様に難しい顔をしている風でパソコンに向かっている状況によく出くわす。というより、しょうもない話に花を咲かせているでもない限りは大体がそういう状況にある。

そんな中で、日ごろ家にいるときは大体音楽を流している身としては、ここで穏やかな音楽を流していたらこのギスギスした職場の空気も少しは良くなるのだろうか、などと考えてしまう。

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